告知「TSとTGを支える人々の会」催し(1999年9月3日)
インターセックスとトランスジェンダー
−−その知られざる問題の共通点と相違点(公開シンポジウム)
第67回「TSとTGを支える人々の会」催し・公開シンポジウム インターセックスとトランスジェンダー −−その知られざる問題の共通点と相違点 話し手:ミルトン・ダイヤモンドさん、針間克己さん、星野一正さん、橋本秀雄さん IS当事者のお母さん、野宮亜紀さんほか 司会:斎藤有紀子さん 一般に性別は、生まれたときの外性器の形で決められています。 インターセックス(IS、半陰陽)と呼ばれる、生物学的に男性と女性の特徴を持って 生まれる人たちの状況などは、まだほとんど知られていません。出生時の外性器の形が 「非典型的」である。外性器の形は「典型的」でISと気づかなかったが、第二次性徴期 になって期待された体の変化が起きない、あるいは大人になって不妊症の治療から初め て発見されるなど、ISの種類や状態は様々で、抱える問題もそれぞれ異なります。これ まで、医学はIS児の外性器の治療を必要と考えてきました。そのため、性のタブーと相 まって、ISの治療は多くの場合、本人 (や家族)に十分な説明もされないまま、幼少 期から、できるだけ女性または男性の身体に近付けるよう、ホルモン療法や手術療法が 半ば強制的に行なわれてきました。本人の自己決定が保障されず、不可逆的な治療が実 施されてしまう−−それ以外の選択肢と支援方法をもたないできた社会によって、深刻 な問題が生み出されています。 一方で、トランスジェンダーは、生物学的(解剖学的)には典型的であるという点で 、ISとは区別されます。しかし、この二つには重なる問題があります。例えば、性別再 指定(性転換)手術を始めとする医療が、IS当事者には自己決定とは無関係に強制され てきた反面、性同一性障害の当事者は手術希望の意思を明確に示しても、長いこと公の 医療では拒否され、手術の正当性も認知されてきませんでした。本人に必要な医療を見 きわめるために、これまで当事者の主体性が尊重されなかったという点では、あい通じ るところがあります。 今回は、ISとTGの問題をクロスさせることで、相互の理解を深めていくきっかけにな ればと企画しました。当事者や日本の研究者をはじめ、従来のIS医療のあり方に警鐘を 鳴らす研究を発表し、世界的に注目された、ISとTG双方に詳しい性科学者・ダイアモン ド博士もお招きしています。非典型的な性のあり方に対する医療や社会的支援は、当事 者が「自分らしく生きる」上でどのようにあるべきか、参加者の皆さまとともに考えて みたいと思います。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・インターセックスとは… 性分化の発達機序において、遺伝子・性腺・内分泌(ホルモン )など様々なレベル で非典型的な要素が含まれることを意味する トランスジェンダーとは… 広義には、自分の身体の性別やそれに属する社会的、文化的性別に対して何らかの違 和感や不快感を感じている人。(狭義には、反対の性での生活 を望みながらも、 性転換手術までは望まない人を指すことが多い)。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 〈第一部〉18:00―19:20 「インターセックスとトランスジェンダー その医療倫理をめぐる問題点」 ミルトン・ダイヤモンドさん(ハワイ大学医学部教授) 「インターセックスとトランスジェダーの性別を考える」 針間克己さん(精神科医) 「非典型的なジェンダー指向をもつ人々の性的自己決定とQOL」 星野一正さん(京都大学名誉教授) 司会:斎藤有紀子さん(明治大学法学部非常勤講師) 〈第二部〉19:20−20:30 「当事者からの発言」 橋本秀雄さん(IS、「日本半陰陽者協会」世話人) IS当事者のお母さん 野宮亜紀さん(MtFTS/TG、「TSとTGを支える人々の会」運営メンバー)など 質疑応答、全体討論 *話し手やテーマ、発表順などは、都合により変更される場合があります。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・○取材を希望するマスコミ関係者の方は必ず事前の申し込みをお願いいたします(事前 のご連絡がない場合、取材をお断わりする可能性があります)。また、客席やロビー、 会場周辺などでの参加者に対する取材、撮影などはご遠慮ください。 ○一般の方の予約は必要ありません。 ○取材申し込みをされた方以外は、会場へのカメラ、ビデオカメラ、テープレコーダ ーの持込みは禁止とさせていただきます。 ○他人に迷惑をかけるような言動をする方には、退場をお願いする場合があります。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 当事者・家族・パートナーの方々へ 今回の催しは、マスコミの取材を含む一般公開の催しです。参加者のプライバシーにつ いては会としてできる限りの配慮は致しますが、皆様におきましても各自一層のご注意 をされた上でご来場ください。 〈話し手紹介〉(プログラム順) ★ミルトン・ダイヤモントさん……ハワイ大学医学部解剖学・生殖生物学教授。現代の 代表的なセクソロジストとして、欧米などを舞台にアカデミックな研究発表を行なうほ か、地域社会での診療、セラピー、カウンセリング活動に従事。翻訳された著書に『人 間の性とは何か』 『セックスウォッチング/人間の性行動学』(共に小学館)などが ある。 ★針間克己(はりま・かつき)さん……東京大学医学部卒。東京大学医学部大学院博士 課程修了。医学博士。日本性科学会幹事。専攻/精神医学、性心理障害。精神科全般の 臨床に携わる一方、性同一性障害の診断、治療も行なっている。著書に『セクササイズ 58』(小学館)がある。 ★星野一正(ほしの・かずまさ)さん……東京医科歯科大学卒。産婦人科 医学博士。 1957年から20余年の北米での臨床・研究活動の後、カナダ・マニトバ大学医学部教授、 ドイツ・フライブルグ大学医学部客員教授を経て、1977年に京都大学医学部教授として 赴任。京都大学医学部倫理委員会初代委員長を5年間務める。米国で生まれ体系づけられ た新しい生命倫理学 (バイオエシックス)を日本に紹介・普及、日本生命倫理学会の初 代会長。平成2年に京都大学を 退官後、生命倫理学の研究・教育・啓蒙活動に専念。現 在、京都大学名誉教授、京都女子大学・宗教文化研究所教授・国際バイオエシックス研 究センター・ディレクター、アメリカ内分泌学会名誉会員、アメリカ解剖学会名誉会員 、New York Academy of Science会員、 他所属学会多数。著書には、『医療の倫理』( 岩波新書)、『生命倫理と医療―すこやかな生とやすらかな死』(丸善)、『インフォ ームド・コンセント―日本に馴染む六つの提言』(丸善ライブラリー)ほか、多数。 ★橋本秀雄(はしもと・ひでお)さん……1961年生まれ。戸籍上男性。インターセック ス・アクティビスト。ISとその家族の支援とネットワーキングを進める自助グループ、 PESFIS(日本半陰陽者協会)世話人。「子供と人権」「性と医療」「医療と人権 」をキーワードに活動を展開。著書に『男でも女でもない性』(青弓社)、共著に『イ ンターセクシュアルの叫び』(かもがわ出版)がある。 ★IS当事者のお母さん……性染色体はXY型、マイクロペニス(短小陰茎)で、男児とし て育てている小学生のお子さんがいる。 ★野宮亜紀(のみや・あき)さん……MtFTS(male to female transsexual)/TG(trans gender)。早稲田大学心理学科卒。コンサルティング業。「TSとTGを支える人々の 会」運営メンバー。 〈司会〉 ★斎藤有紀子(さいとう・ゆきこ)さん……1963年生まれ。明治大学大学院法学研究科 博士前期課程修了。専攻は法哲学・生命倫理。医療における患者の人権・自己決定の問 題に取り組む中で、TS・TG・ISの問題と出会う。共著に『ささえあいの人間学』(法蔵 館)、『医療と子どもの人権』(明石書店)など。TS・TG・IS関連論文に、「性と生殖 をめぐる生命倫理」(母性保健をめぐる教育・指導・相談−その1−ライフ・サイエン ス・センター)、「性の自己決定と医療:性転換手術容認をめぐって」(助産婦雑誌97 年8月号)など。現在、明治大学法学部 、埼玉県立大学短期大学部助産学専攻科などで 非常勤講師。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 日時:1999年9月3日(金) 開場17:30 開演18:00〜20:30 主催:TSとTGを支える人々の会 協力:FTM日本 会場:東京ウィメンズプラザ・ホール 東京都渋谷区神宮前5−53−67 地下鉄表参道駅 B2出口 徒歩7分 参加費:1500円(資料代込み/カンパ歓迎!) 【問合わせ・連絡先 〒156−0044 東京都世田谷区赤堤二郵便局留 「TSとTGを支える人々の会」 ※住所には、必ず「赤堤ニ郵便局」と漢数字の「二」を入れて下さい。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「TSとTGを支える人々の会」(Trans-Net Japan)とは 埼玉医科大学倫理委員会の答申発表をきっかけに、日本国内に性同一性障害のための 自助支援グループがないのはおかしいという思いから発足しました。1996年8月から、学 習会や体験 交流会、家族会などを行なってきました。普段の活動は、プライバシーへの 配慮から参加者やその家族、パートナー、支援者(医療関係者、カウンセラーなど)に 対象を限定し、その参加者は99年8月までに約700人(公開時を除く)にのぼっています 。IS当事者の参加者も、わかっているだけで十数名います。 資料集ご案内 当日もご用意いたします。 「性同一性障害者も生きやすい社会を!」改訂三版 定価500円送料160円 計660円 「トランスジェンダーの自助支援グループ全国交流誌」 定価500円送料200円 計700円 申込み方法:希望の資料名を明記の上、費用分の切手(80円、10円切手の組合せ) を同封し、右記の当会連絡先へお申し込み下さい。送付先の郵便番号、ご住所、お名前 、できれば電話番号(またはメールアドレス)をお忘れなく。