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「TSとTGを支える人々の会催し(1999年10月17日)
「やさしいフーコー論」−−差異の尊重をめざして (公開講演会)


 第70回「TSとTGを支える人々の会」催し・公開講演会           「やさしいフーコー論」                         −−差異の尊重をめざして             話し手:松田博公さん(共同通信編集委員) 司会:伏見憲明さん(評論家)    20世紀を最もスキャンダラスに生き、次の世紀の人々の生き方に最も影響を与える だろうフランスの思想家、ミシェル・フーコー。ゲイで、SM趣味があり、1984年 にエイズで亡くなったが、今も、人々−−特に「クィアー(変態)」を自認する人々の 心のなかに生き続けている。 共同通信編集委員で、20世紀連載企画の編集長だった松田博公さんは、今年4月、そ の偉大な足跡をたどるべく、パリ、サンフランシスコ、ニューヨークを取材旅行した。 数々の出会いを重ね、「70年代からの日本におけるフーコーのどちらかと言えば脱色 された非政治的な紹介にはうんざりしてきた」松田さんでしたが、フーコーの遺産が生 きのいいポリティカルな芽として吹き出しているのを実感します。とかく難しいと言わ れるフーコー論ですが、それを血肉にして生きる人々の生き様の紹介をおりまぜながら 、やさしく語っていただきます。           ・ ◆ ・ ◆ ・ ◆ ・ ◆「フーコーは私の日常と人生を根本から変えた人です。彼の考えとは、対話に基づき、 平等で友愛に満ちた社会を構築していくこと。私は、フーコーがそうであったように、 既成の人間観・社会観を混乱させるものはなんでも好きです。サンフランシスコには、 多くのTG、TSがいます。生物学的な性から自分がアイデンティファイする性にトラ ンスしようとするのに、間違ったところはなにもありません…」 ケビン・シャウブ ハーベイ・ミルク研究所所長/サンフランシスコにて ※1978年、ホモフォビアの犠牲になって暗殺されたゲイのサンフランシスコ市行政 官の名を冠した同研究所は、ゲイ、TG、TS、ISなど性的少数者に関連する100 を超える文化、政治、生活情報講座を運営。95年に開講し、98年には受講者は延べ 7500人になった。 ◆「フーコーの思想は、二十世紀が挑戦し、多くは失敗してきた問題と関わっています。 それは、どのように人間が差異を尊重して生きられるかということです。民族や人種、 宗教、文化が違う人々、私たちが持っている人間性という観念とは別の人間性の観念を 持っている人々、ジェンダー、セックスの好みやアイデンティティを異にする人々、ま た自分自身の中にある差異などと、どう共存できるか」  デイヴィッド・ハルプリン サウス・ウエールズ大学クィア理論教授/パリにて ◆「フーコーはとても重要な人で、今は科学者から馬鹿にされているけれど、50年後 にはフロイトと同じほどの位置を与えられるでしょう」 アン・ファウスト・スターリング ジェンダー研究者、論文「5つの性」著者 ◆「私のクリトリスは、暴力的な切除の前は、みじめなくらい小さなペニスだとされた んです。だけど、医者が女の子だという考えに移った瞬間、小さなペニスから恐ろしい ほど大きなクリトリスになったんです。私の体は変わりませんでした。医者の考え方が 変わっただけなんです。ISの問題が私の体がいけないということではなくて、ゲイや レズビアンなどと同じく、社会の偏見、軽蔑にあるということが分かりました。フーコ ーには非常に影響されています」 シェリル・チェイス 北米インターセックス協会(ISNA)代表/サンフランシスコにて ◆「フーコーは個人的にも学問的にも私のモデルです」 スーザン・ストライカー ゲイ・レズビアン歴史協会主宰、学者、MtFTS(男性か ら女性への性転換者)/サンフランシスコにて ◆「TSは物事を男・女に単純化しようとしているのではなくて、ジェンダーを理解し ようとしているんです。TGのように、男でもなく女でもなくではないですが、男の体 で生まれ、XYの遺伝子を持ちながらも、完全に100%女性だと、すごい革命的なこ とを言おうとしている。フーコーが生きていたら、こういう発想を面白がるかもしれない」 デイナ MtFTS、ライター/サンフランシスコにて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・         クィアとは…90年代初頭のアメリカのゲイ運動が生み出した、あからさまな差別語を 逆手に取った冗談半分、開き直り半分の自己規定。レズビアン、ゲイ、バイセクシュア ル、TG、TS、ダイクなど、すべてを包み込むアンブレラ・ターム。そのため、クィ ア・パースペクティブという運動概念が、あらゆる性的少数者の連帯を求めて成立して いる。 その神髄は、「差異の尊重」にある。 インターセックス(IS)とは…性分化の発達機序において、遺伝子・性腺・内分泌 (ホルモン)など様々なレベルで非典型的な要素が含まれることを意味する。   トランスジェンダー(TG)とは…広義には、自分の身体の性別やそれに属する社会的、 文化的性別に対して何らかの違和感や不快感を感じている人。(狭義には、反対の性で の生活を望みながらも、性転換手術までは望まない人を指すことが多い)。   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   ◆当事者・家族・パートナーの方々へ                     今回の催しは、マスコミの取材を含む一般公開の催しです。参加者のプライバシーにつ いては会としてできる限りの配慮は致しますが、皆様におきましても各自一層のご注意 をされた上でご来場ください。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   ○取材を希望するマスコミ関係者の方は必ず事前の申し込みをお願いいたします(事前 のご連絡がない場合、取材をお断わりする可能性があります)。また、客席やロビー、 会場周辺などでの参加者に対する取材、撮影などはご遠慮ください。     ○一般の方の予約は必要ありません。   ○取材申し込みをされた方以外は、会場へのカメラ、ビデオカメラ、テープレコーダー の持込みは禁止とさせていただきます。   ○他人に迷惑をかけるような言動をする方には、退場をお願いする場合があります。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   〈話し手紹介〉 ★松田博公(まつだ・ひろきみ)さん……1945年生まれたのは神戸市近郊。共同通 信編集委員。ペーパー鍼灸師。まだリブの荒削りの感覚を残す女性運動の取材に没頭し ていたころ、教育、宗教にテーマを移してからも、常にフーコーはわが老師でした。著 書に、佐々木賢との対談『果てしない教育?』、同『教育という謎』(ともに北斗出版) 最近の論稿では、「臨教審自由化論かく破れたり」とオウム真理教へのメディア・バッ シングの初期に書いた「あなたは秘密金剛乗の革命家なのか」が自分では気に入ってい ます。今年11月刊行予定の、伏見憲明さん編、既刊「クィア・ジャパン」創刊号(勁 草書房)に、フーコーの取材記を寄稿。 〈司会〉  ★伏見憲明(ふしみ・のりあき)さん……評論家。『プライベート・ゲイ・ライフ』( 学陽文庫)、『快楽の技術』(斎藤綾子氏との共著、河出文庫)、『〈性〉のミステリ ー』(講談社現代新書)、『ゲイ・スタイル』(河出文庫)など著書多数。  伏見憲明のホームページ 〈http://nz.studiostag.co.jp/home/fushimi/〉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   日時:1999年10月17日(日) 開場13:15                   開演13:30〜16:00   主催:TSとTGを支える人々の会 協力:FTM日本             会場:梅丘パークホール(世田谷区立北沢区民会館別館)              東京都世田谷区松原6−4−1 小田急線梅ケ丘駅下車 北口より徒歩3分   TEL 03−5300−3220(場所の問合わせ以外はしないで下さい) 参加費:1000円(資料代込み/カンパ歓迎!)               【問合わせ・連絡先】                                         〒156−0044 東京都世田谷区赤堤二郵便局留                     「TSとTGを支える人々の会」   ※住所には、必ず「赤堤ニ郵便局」と漢数字の「二」を入れて下さい。     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   「TSとTGを支える人々の会」(Trans-Net Japan)とは 埼玉医科大学倫理委員会の答申発表をきっかけに、日本国内に性同一性障害のための自 助支援グループがないのはおかしいという思いから発足しました。1996年8月から、 学習会や体験 交流会、家族会などを行なってきました。普段の活動は、プライバシー への配慮から参加者やその家族、パートナー、支援者(医療関係者、カウンセラーなど )に対象を限定し、その参加者は99年8月までに約700人(公開時を除く)にのぼ っています。IS当事者の参加者も、わかっているだけで10数名います。 資料集ご案内   ◆「性同一性障害者も生きやすい社会を!」改訂三版 ※重版中です。 定価500円送料160円 計660円 ◆「トランスジェンダーの自助支援グループ全国交流誌」 定価500円送料200円 計700円 申込み方法:希望の資料名を明記の上、費用分の切手(80円、10円切手の 組合せ)を同封し、右記の当会連絡先へお申し込み下さい。送付先の郵便番号、 ご住所、お名前、できれば電話番号(またはメールアドレス)をお忘れなく。


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