告知

   第81回「TSとTGを支える人々の会」催し・交流会/非公開

     「癒しとしてのトランスジェンダー・ライフ」

  話し手:山口いさえさん(MtFTG)、針間克己さん(精神科医)、
          森野ほのほ(「TSとTGを支える人々の会」主宰)ほか
   


  トランスジェンダーって、かわいそうな、病気の人たちのこと?
   トランスジェンダーに生まれてきたことって、ネガティブなことばかり?
   いえいえ、そうは思えません。

 性別違和感の苦悩を生きのびてきた、サバイバー(生存者)。他者と異なるがゆ
えのアイデンティティの問題に悩むなかで、人生への洞察が深くなったり。成熟し
たり。他人への思いやりを持てるようになったり。他者の多様性に気づき、受容で
きるようになったり……。「経験が、男と女両方の立場や気持ちを理解するうえで
役立っている」と言う当事者の人もいます。
 今回は、日頃、否定的にとらえられがちなトランスジェンダーについて、これま
であまり語られてこなかった、肯定的な側面−−トランスジェンダー・ライフの気
づき、癒し、豊かさについて、話しあえたらと思います。また、その肯定的な側面
を生かしていく上で、専門の精神科医からのご提言もいただきます。

■「私らしくある、受容される、癒しの日々」………………………山口いさえさん
■「トランスジェンダーのよりよき今--過去と現在のつながりのなかで」
                           …………針間克己さん
■「癒しとしてのトランスジェンダー・アクティビズム」…………森野ほのほ

《山口いさえさんからのメッセージ》

 20代もなかばを過ぎてから、自分がTGであることを初めて深刻に自覚しました。
1995年、次のあてもないままに仕事も退職。生きていることがほんとうに辛くて、
一筋の光も見えませんでした。「なんとか生きる意味をつながなければ」。必死の
思いで私が始めたことは、個人通信を発行することでした。背水の陣、だったのだ
と思います。私は、友人・知人あわせて 100人ほどの相手に『こころのやまぐち』
と題した郵便を送りつけ、自分が TGであること、TGで あるとはどんなことなのか
、それがどんなふうに辛いか…等々をひたすら書きつづりました。個人通信は3年 
間、第9号まで続きました。

 そして私は受容を得た気がしています。のべ百数十人、個人通信を読んでくれた
人たちのうち、はっきりと私を拒絶した人はほんの1人か2人だったと記憶していま
す。そして、思ってもみなかったことに、実に多くの人が、私に対して受容的な反
応を返してくれたのでした。たくさんの人から繰り返しいただいたそうした反応が
、いかに私を癒してくれたことか。「私は私であっていいんだ」「私という存在も
大切な存在であるはず」という自信を少しずつ私に与えてくれたことか。

 「あなたはあなたであっていい」「あなたは大切な存在」ふりかえってみればそ
れは、子どもの頃私が渇望しつづけたメッセージでもあります。あたたかさとか(
精神的な)豊かさの欠乏した家庭に育ち、いつも心が栄養失調のような状態のまま
育った気がしています。今も、その後遺症は私を苦しめています。

 そんな人生の中で私が今、TGとして生きていること。パッシングなんて夢のまた
夢ながら、職場でも、友だちとのつきあいの中でも、私らしくふるまい、受容され
、尊厳をもらっていること。まあときにはマイナスの事態も起こりますが、考えて
みると、もしかしたら私は、まさに「癒しの日々」を生きさせてもらっているのか
もしれない……そんなふうにさえ思うこともあるのです。

《針間克己さんからのメッセージ》

 トランスジェンダーの悩みは、性別異和にのみにあるかと思われています。しか
し、過去や未来と切り離され、現在にのみ孤立して生きていくことにもあるのでは
ないでしょうか。
 辛い記憶や経験、別離、転居、転職等で過去と切り離されます。先行きの不透明
さや不安感により将来ともつながりません。
 この考えの是非や、どうすればいいのかということを一緒に考えていけたらと思
います。

《森野ほのほからのメッセージ》

 癌という命に関わる病気にかかっていることがわかってから、すでに、早いもの
で数ヵ月が経とうしています。告知から入院、手術、退院までの日々は、私にとっ
て普段の10年分ぐらいに匹敵すると思えるほど濃い時間でした。

 癌体験を通して、気づいたことのひとつに、「TSとTGを支える人々の会」の
活動が、私にゆたかな果実をもたらしてくれていたということです。キリスト教に
は「ひとを助くるものは、自らを助く」とかいう教えがあって、それがサポートグ
ループの理念の原点だとか。それをまさに実感したことを、性別違和感を抱えてき
た自分史とのからみでお話しします。

◆話し手紹介◆

山口(やまぐち)いさえさん……MtFTG。1960年代生まれ。現在、都内の市民活動
 センターに 非常勤勤務。パートナーはネイティブの女性。2000年1月より、「TS
とTGを支える人々の 会」運営メンバー。

針間克己(はりま・かつき)さん……東京大学医学部卒。東京大学医学部大学院博
士課程修了。医学博士。日本性科学会幹事。専攻/精神医学、性心理障害。著書に
『セクササイズ58』(小学館)がある。

森野(もりの)ほのほ……1960年東京生まれ。フリーライター。1996年7月に「T
 SとTGを 支える人々の会」を数人の協力者とともに発足、主宰。99年夏ごろか
 ら体調が芳しくなく、2000年1月末に子宮体癌とわかり、同年2月下旬に準広汎子宮
全摘術を受けた。

【日時】2000年5月20日(土)18:10〜21:10 
【主催】「TSとTGを支える人々の会」 
 【協力】「FTM日本」
【会場】都内の公共施設
【参加費】1000円(カンパ歓迎!)
【問合わせ・連絡先】

〒156−0044 東京都世田谷区赤堤二郵便局留 
      「TSとTGを支える人々の会」

【参加資格】TS/TG/TV当事者の方。またはその家族、パートナー、支援者
の方々。

◆当日のお手伝いをして下さる方を募集しています。
◆参加を希望される方は、電話で事前に申し込み、受け付け番号をもらって、会場
を教わってください。(参加者のプライバシーを守るためです。ご協力ください)
◆マスコミ関係者の参加及び取材はお断わりします。写真&ビデオ撮影・録音厳禁。

★催しの後、近くの店で、親睦をかねたささやかな二次会をします。参加ご希望の
方は、閉会後お残りください。会場にご案内します。




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