東京都人権施策推進のための指針〈骨子〉に関するパブリック・コメント

「TSとTGを支える人々の会」では、2000年7月21日、東京都に、
下記の人権施策推進のための指針〈骨子〉に関するパブリック・コメント」を提出しました。 
 



東京都総務局人権部 御中

当会は1996年に発足した性同一性障害の当事者を中心とした自助・支援グループです。通常は、参加者を当事者やその家族、パートナー、支援者(医療、法律関係者など)に限定して集会を行ない、これまでに約650名(公開時の一般参加者約600名を除く)が参加しています。「その他の人権問題」として性同一性障害が記されたことに賛意を表します。ただし、以下の点で詳細な記述が望ましいと考えます。

1 指針への要望

(1) 医療サービスを受ける権利の保障: 性同一性障害の精神療法・ホルモン療法・手術療法に対応できる医療機関の不足は深刻で、安全な医療を受ける権利を脅かしています。また、性同一性障害への無理解が一般的疾患の治療を受ける当事者の権利をも不安定なものとしています。都内医療機関への働きかけや公立教育機関での専門家育成が急務であり、医学や看護学、心理学、社会福祉学等の教育課程に含むよう、明記すべきと考えます。

(2) 法的制度・社会制度の整備: 戸籍のほか、自治体管轄の住民票、パスポート、各種資格・免許証、投票用紙、社会保険登録等で性別の表記が外見や社会生活上の性別と異なるため、基本的な生活(就業、入居、身分証明を必要とする商行為、渡航など)を事実上制限されており、現状として明記すべきと考えます。欧米と同様に公的書類の性別表記訂正が望まれるほか、関連機関への啓発や指導(特に就業差別)、差別が発生した際の罰則規定の考案など、今後の具体的対応策の可能性について指針で言及することが望まれます。

 (3) 学校教育: 学校でのいじめや書類上の性別に基づく行動の強制は、当事者のQOLを大きく脅かすものとなっています。教育関係者に対する知識の普及と対応の指導、家族への支援の必要性など、施策として明文化することが望まれます。

2 補足

 1で述べた要望の一部は、同性愛者、半陰陽者などにも共通した課題です。この分野は、多くの当事者が存在するにも関わらず、他の人権問題と比較して啓発が不十分であり、不当な差別や偏見にさらされています。懇談会提言では重要かつ詳細な記述がなされており、指針でも同様の記述をすべきと考えます。

TSとTGを支える人々の会(Trans-Net Japan:略称TNJ)運営メンバー

上川あや*,虎井まさ衛*,野宮亜紀*,東優子,森野ほのほ(主宰)*,森本エム*,
山口いさえ*,山路明人*,南野みさき * (*印:東京都在住)
 
 



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